「月島くんと結城さんにはいつもお手伝いしてもらってるから、お礼よ。お菓子とジュースを買ってきたの。ふたりでわけて食べてね」

「え、いいんですか。ありがとうございます」

「今渡そうかと思ったけど、ふたりとも段ボールで手がふさがってるわね。ゴミを片付けたら渡すわね」


 そういうわけで先生は、私と光雅くんと共にゴミ捨て場までついてきた。

 そして私たちが無事ゴミを廃棄すると、お菓子とジュースが入ったレジ袋を私に差し出した。


「お気遣いありがとうございます! わー、お菓子いっぱい!」

「いいのよ、いつもタダ働きさせて悪かったわ。ゆっくり味わって食べてね。それじゃ、またね」


 私とそんな会話をすると、司書の先生は図書室へと戻って行った。


「本当にいっぱい入ってるね、お菓子」


 光雅くんがレジ袋を覗き込みながら言った。

 いつもの調子で、彼らしいクールな顔をして。

 彼のその表情を見て、さっきの言葉に深い意味はないんだろうなと、私は思ってしまった。

 そうだよね。

 やっぱり、覚えているわけない。