「大丈夫? 本って意外と重いよ。無理してひとりで運ばなくていいんだよ」


 そんな私に向かって、少し心配そうな顔をする光雅くん。

 私は笑ってこう答える。


「大丈夫大丈夫! 私結構力あるんだよ~」

「そんな風には見えないけど……」


 自信満々に言ってみせる私に、光雅くんはいまだに不安げに言いながら、もうひとつの段ボール箱を軽々と持ち上げた。

 高校生になった今でこそ身長は平均的になってしまったけれど、小さい頃はわりと体が大きい方だった。

その頃は体力に自信があって運動が好きだったことから、よく体を動かして遊んでいた。

 その貯金があるためか、運動部に入っていない今でも私の運動能力はそこそこいい。

 スポーツテストで測った握力や背筋力は、女子の平均値よりも結構よかった覚えがある。

 ――そう、小さい頃は私は大きかった。

 あなたは、私より小柄だったよね。

 八年前の光雅くんは、私より頭ひとつ分くらいは小さかった気がする。