「何回かやったおかげで、書庫の中もだいぶ片付いてきたな。今日でこの仕事も終わりかな」

「そ、そうだね」


 内心どぎまぎしている私とは対照的に、光雅くんはいつものクールな調子で言った。

 本当に私のことをなんとも思われてないんだろうなあ。

 ちょっとがっかりしてしまう。

 なんてことを、密かに考えていると。


「ふたりともいつもありがとうね。あとは捨てる本をゴミ捨て場まで持って行ったら、終わりにしていいわよ」


 司書の先生が書庫に入ってくると、私たちふたりに対してにこやかに言った。


「はーい!」

「わかりました」


 私と光雅くんがそう答えると、書庫から出ていく先生。

 私は廃棄本を詰めた段ボールを見下ろす。

 段ボールは二箱あり、それぞれに隙間なく本が詰まっていた。

 段ボールのサイズから考えると、ひとりひとつ持っていけそうに思えた。


「よいしょっと」


 段ボールのうちのひとつを、私は声を出しながら抱え上げる。

 思ったよりも重量感があったけれど、運べないほどの重さではない。