ニヤニヤしながら、全然残念ではなさそうに良悟くんが言う。

 全く、その気もないのに変な事を言わないで欲しいよ。


「ま、彼女の他に好きな子が出来ちゃったっていう、月並みな理由っすよ」


 私に緩い笑みを向けるのをやめてから、何気ない口調で良悟くんが言った。

 ふざけた感じはなかったので、本当のことなんだろうなと思った。

 ――お互い好き同士で付き合っても。

 長い間一緒にいても。他に好きな人ができることがあるんだ。

 そして、新しい恋のために、恋人と別れる決断をすることもあるんだ。

 じゃあ、もし私と光雅くんが恋人同士になれたとしも、そのあと彼が別な女の子に惹かれて別れを決断される可能性もあるわけで。

 そうなってしまったらやっぱり、気まずくなってしまうだろう。

 別れたからこれからは友達として仲良くしようなんて、難しいだろうな。

 きっと私は、ずっと光雅くんを好きでい続けるし。

 たった一度会っただけで、8年間も好きだったんだもん。

 きっと今後も、他の人に目を向けられる気なんてしない。