芽衣はかっこいい男の子を見つけてキャーキャー言うのが大好きなのだ。

 中学の時も、何組の誰誰君が、二年生の後輩君が、なんて、私によく校内のイケメン情報を振ってきていた。

 だけど、付き合うのは少し年上の大人っぽい人がいいらしい。

 同世代のイケメンを探すのは、ただの目の保養のためなんだって。私にはよくわからないけど。

 私もかっこいい男の子を見るのは嫌いじゃないけど、芽衣ほど率先して見つけに行く、という趣味はなかった。

 恋愛だって、あまり積極的な方ではない。

 ――なぜなら。


「かっこいい人ねえ……」

「もう、紗良ったら。相変わらず興味無さそうだねえ。紗良はかわいいんだから、その気になればすぐに彼氏なんて見つかるのに」


 私のぼやけた返答に、芽衣がしかめ面でツッコミを入れた。


「で、でも私は」

「高校になっても八年前に出会った『星の王子様』を思い続けるつもりー? いい加減遠い昔に一度会っただけの男の子なんて忘れなよ」

「それはそうかもしれないけど……」

「まあ、そんな一途なところが紗良のいいところだけどさ。でも、あまりにも望み薄だから、かわいそうに思える時があるんだよね。名前すらわからないんだもん」