だけど、昔と変わらず……いや、昔以上に大好きな声。

 光雅くんは、私の顔を覗き込むようにこちらを見ていた。

 改めて至近距離で見えた、切れ長の透き通るような双眸に、心臓が大きく飛び跳ねさせられる。


「え、どうしてわかったの?」


 見つめられていることにうろたえながらも、なんとかそう返答する。

 すると光雅くんは、くすりと小さく笑った。


「数学の時間青い顔してたし、終わった後におっきな溜息ついてたから。見れば分かるって」

「えっ……。そっか、そうだよね」


 絶望していた様子をいろいろ見られていたことを今になって光雅くんに言われ、ちょっと恥ずかしくなって私は俯いた。

 ――すると。


「俺は結構数学好きなんだ。で、もしよかったらなんだけど」

「え?」

「今日の放課後、分からなかったところ俺が教えようか」


 さりげない言い方だった。

 得意になっている様子もなければ、押しつけがましい雰囲気もなかった。