「光雅くんもマラソンは嫌なんだ?」

「やっぱりバスケとかサッカーとか、みんなでするスポーツの方が楽しくない?」

「あーそうだね。光雅くんがバスケするところをまた見たいな!」


 体育祭のバスケットボールの決勝戦で、活躍していた光雅くんの姿を思い出しながら言う。

 あの時は本当に誰よりも輝いていて、なんてかっこいい人なんだろうって思った。

 そんな人が、今私の隣にいる。

 私の恋人として。

 八年前の約束をずっと大切にしていた者同士として。

 光雅くんが私の恋人。

 光雅くんが私の彼氏……。

 そんな事実を胸中で反芻するたびに、信じられないという気持ちと、底知れない嬉しさがいまだに湧き上がってきてしまう。

 そんな幸福感を、「バスケねー。昼休みにでも良悟でも誘ってまたやろうかな」と言っている光雅くんの隣で、噛みしめていると。


「おふたりさん、おっはよーん」


 背後からやたらと軽くて明るい声が聞こえてきた。