呆れたように良悟くんは言う。

 私もふふっと笑った。

 なんだか吹っ切れたような気分で、妙にすっきりしていた。


「そんなに馬鹿かなあ、私」

「ほんと、馬鹿だよ。感動しちゃうくらいにね」

「誉め言葉として受け取っておきますね」


 暗い気持ちはまったくなかった。

 こうして良悟くんと冗談を言い合えるほどに。


「だけどね、ひとつ言わせてほしいんだけど」

「何?」

「光雅は紗良ちゃんが隣にいた方が、頑張れると思うんだよね。あいつはそういうタイプだと思う」

「え……」


 良悟くんの言葉が全然信じられなかった。

 だって、私は光雅くんの足を引っ張ってばかりいる。

 入学してから今までのことを思い出しても、彼の頑張りの邪魔しかしていないと思う。


「そっか、ありがとう」


 きっと良悟くんは、私を慰めるためにそんなことを言ったのだろうと思った。

 だから私は、軽くお礼を言ってその話を終わらせることにした。