ずっとキミしか見えてない

「俺が代わった途端目を覚ましてくれるなんて、愛の力かな?」

「それは違うけど……。でも、ありがとう」


 こんな状況でも休まずにからかってくる良悟くんに、私は呆れて乾いた声で言う。

 彼はくくっと喉の奥で笑った。

 すると良悟くんは、ふと窓の外を見た。

 校庭では、まだ体育祭が行われているはずだ。

 窓越しに声援らしきものが微かに聞こえてくる。

 良悟くんは、何故か遠い目をして、どこか寂しげにこう言った。


「光雅も紗良ちゃんのこと心配してたよ」

「え……」


 光雅くんが私のことを?


「紗良ちゃんが倒れた時に、光雅がここまで運んでくれたじゃん。覚えてないの?」

「えええ! あれ、夢じゃなかったんだ⁉」


 驚きの声を上げてしまう私。

 ということは、学校中の生徒がいる校庭で、私は光雅くんにお姫様抱っこをされたってわけか。

 とてつもなく恥ずかしく、身もだえしそうになってしまう。

 だけど私の心に生まれたのは、恥ずかしいという感情だけではなかった。

 嬉しくてたまらない。