残念だったけれど「まあ、先輩だし仕方ないよね」と、芽衣を始めとするチームメイトと慰めあうこととなった。

 試合がなくなってしまった私たちは、のんびり教室で過ごしたり、体育の先生に頼まれて明日の競技の準備をしたりして過ごしていた。

 芽衣と一緒に、校庭の隅に立っている体育倉庫の中で、明日のリレーで使うバトンを用意していた時だった。


「あ! 紗良ちゃんに芽衣ちゃんここにいたんだね! よかったー、探してたんだよっ」

「え?」


 体育層に入ってきたのは、同じクラスの女子のひとりだった。

 相当急いでいたのか、走ってここまで来たようで息を切らしていたが、頬が紅潮していて興奮しているようにも見えた。

 
「どうしたの? 何かあったの?」


 訝しげな顔をして芽衣が尋ねると、彼女は少し息を整えてから、まくし立てるようにこう言った。


「こんなとこで明日の準備してる場合じゃないよっ。うちのクラスの男子バスケのチーム、決勝まで進んだんだから!」

「えっ!? 決勝っ?」

「決勝って……! 一年生なのに!?」