確かに、私に光雅くんではない好きな男の子ができたとしたら、彼を避けるようになったことと辻褄が合う。


「……そんなんじゃないけど」


 やっぱり、そんな勘違いをされるのは嫌だった。

 私はここまで来ても、彼への恋心を完全には捨てられていないのだ。


「じゃあ、なんで?」

「ーーそれは」


 口ごもってしまう。

 本当の理由なんて言えない。

 言えるはずがない。

 言ってしまえば、ますます光雅くんを申し訳ない気持ちにさせてしまう。

 口を開けない私を、光雅くんはどこか優しく、しかし不安げに見つめる。

 この状況、どうしよう。

 と、思っていたら。

 チャイムの音が鳴り響いた。

 いつの間にか、次の授業が始まる時間になっていたのだ。

 トラブルがあって片付けが遅れた上に、体育倉庫で話し込んでしまったせいだろう。

 急いで教室に戻らなければいけないのに、私たちはまだ着替えすら終わっていなかった。