すると彼女は、にやりとちょっといやらしい笑みを浮かべた。


「良悟くんにさっき聞いたよー。彼に告白されたんでしょ？」

「え！　そんなこと言ってたの⁉」

「うん。でも『振られちゃったよあはは』って。軽い感じに見えたけどそれなりにショックだったのかな。ま、紗良は光雅くんにぞっこんだもんね！」


　良悟くんはたぶんショックなんて受けていないとは思うけど。

　そんなことより、芽衣の「光雅くんにぞっこん」という言葉が重くのしかかってきた。


「あ、でもさー。最近ふたりあんまり話してないよね。なんかあったの？」


　芽衣も私の光雅くんに対する態度の変化には気づいていたらしい。

　まあ、芽衣とは席も近いし付き合いも長いから、気づかない方がおかしいか。


「ううん、何もないよ。だけど、光雅くん完璧すぎて気後れしちゃうんだよね。恋っていうか、憧れだったのかも」


　作り笑いを浮かべて、それっぽいことを言う。