「まあ、俺結構紗良ちゃんのこと本気で好きなんで。いろいろ面倒そうな光雅のことを諦めたいなら、俺にしとけばいいんじゃない? 光雅のこと忘れさせてあげるよ」


 本当に、この人はなんであっさりとそんなことが言えるんだろう。

 さっきの励ましは嬉しかったけれど、良悟くんのこういう軽薄そうなところはどうも苦手だ。


「それは無理」


 だから半眼で彼を見て、はっきりとそう言った。


「はは! きびしー!」


 好きだと言った相手にはっきり拒絶されたにも関わらず、たいしてダメージを受けた様子はなく、良悟くんは手を叩いて笑った。

 良悟くんとは友達として一緒にいるのは楽しいけれど、どうしても恋の相手としては見れないな。

 そんなことを考えていると、もう自宅のすぐ近くだった。

 ふたりで歩きながら話しているうちに、いつのまにかここまで来ていたのだ。

 私は良悟くんと軽く別れの挨拶を交わして、帰宅したのだった。