ひょうきんそうに言うのは、芽衣の隣の席の一色良悟( いっしきりょうご)くん。

　同じ中学だったと彼は言っているけど、同じクラスになったことがないので正直知らなかった。

　席に着く前に、芽衣が「光雅くんもいるし、良悟くんもいるなんて！　このクラス当たりだねー」と言っていたので、その時に良悟くんについては彼女に尋ねたのだが、中学ではいろいろな女子に告白されるイケメンモテ男として有名だったらしい。

　でも、中三の時に同学年の彼女が出来てからは、告白する女子も減って彼女と落ち着いた付き合いをしていたんだって。

　「あんなに有名だった良悟くんも知らないだなんて……。本当に紗良は『星の王子様』一筋だねえ」と、芽衣には呆れられてしまった。

　だけど向こうは私のことを知っているらしかったので、知らなかったなんてことは伏せて、私は「よろしくね」と笑みを浮かべて挨拶をした。

　すると、担任の先生が入ってきたので、後ろを向いていた芽衣と良悟くんは前を向いた。

　ちらりと光雅くんの方を向く私。

　彼は前を向いて、これからの学校生活について説明する先生の話をしっかりと聞いているようだった。