ずっとキミしか見えてない

 またまた、高崎さんと中村さんのあの時の会話が頭に蘇った。

 自分が彼とは釣り合わないこと。

 足を引っ張ってしまっていること――。

 彼と話しているとつい嬉しくなっていつも忘れそうになるけど、私はこのタイミングで思い出してしまったんだ。


「あ……。ううん、ごめん。大丈夫。それは光雅くんが食べて」

「え? だって好きなんだろ?」

「きょ、今日はメロンパンの気分じゃないっていうか……。本当は違うパン、買おうと思ってたんだ」


 作り笑いを浮かべながら咄嗟に嘘をついてしまった。

 ――すると。

 光雅くんが、無表情になって私を見た。

 いつも穏やかに小さく笑っている彼のその表情に、私はびくりとしてしまう。


「……そうか。分かった」


 そして低い声でそう言うと、私に背を向けて、自分の席へと座ってしまった。

 最近、こんなことを繰り返してばかりいる。

 光雅くんが私のために何かをしようとしてくれるたびに、私はそれっぽい言い訳をして彼の善意を拒絶してしまうのだ。