ずっとキミしか見えてない

 光雅くんが、首をかしげながら話しかけてきた。

 手には個包装されたパンが3つ抱えられている。


「――光雅くん。もう購買部行ってきたの?」


 自分の置かれている状況を思い出し、一瞬返答に迷う私だったが、あからさまな無視なんてもちろんできないので、最低限の会話だけしようと決めて、そう言った。


「うん。混むから、パン買う時は昼休みが始まってからすぐに行くことにしてる。それで、紗良。メロンパンが好きなの?」

「うん、そうだけど……」

「じゃあはい、これ。たぶんもう売り切れてるから」


 そう言いいながら光雅くんが私の方へ差し出したのは、表面がカリカリしていて、中はあっさりと甘くふわふわしている私が大好きなメロンパンだった。


「えっ。これ……」

「あげるよ。別に昼飯はパンふたつで足りるし。ひとつはあとでお腹がすいたとき用に買ったやつだから」

「ほんと⁉ じゃあお金……」


 払うから、そのメロンパンもらっていいかな?と言いかけた私だったが。