ずっとキミしか見えてない

「えー! 俺はいつだって真面目っすよ!」

「どこが?」


 生物の先生と良悟くんのそんなやり取りを見て、くすりと笑う光雅くん。

 少し前までは見る度にときめきが生まれた彼の笑み。しかし今は、心が重苦しくなる。


「それじゃあ、私は帰るね。先生、ありがとうございました」


 息苦しくて、私は早口でそういうと、彼らの返答も待たずに背を向ける。


「え、紗良?」


 急に帰ろうとした私を不審に思ったのかもしれない。

 光雅くんのそんな声が背後から聞こえてきたけれど、「急ぎの用事があるの」と振り返らずに言い、私は職員室の出入口から退出した。

 そしてそのまま早足で教室に戻り、通学鞄を持って、私は急いで校舎から出た。

 ひとりきりの帰路。昼下がりの涼しく寂しげな風が頬をかすめる。

 勝手に涙が溢れ出てきた。

 だけど私はごしごしと乱暴に拭い、自宅まで歩き続けるのだった。