ずっとキミしか見えてない

 全然関係ない話しをしているのかもしれない。――だけど。

 ――月島くんに迷惑かけないでほしい。

 ――ほんと、足引っ張るなってのー。

 今朝、女子トイレの個室から聞こえてきた彼女たちのそんな声が、頭の中に蘇えってきた。

 そうだ。

 私なんかが光雅くんと一緒に居たら。彼の迷惑になってしまうかもしれない。

 補習に付き合わせたりなんかしたら、彼の貴重な時間が潰してしまうことになるんだ。

 医学部のことはよく知らないけど、他の学部よりも相当入試が大変と聞く。

 頑張っている彼の邪魔なんて、一秒だってしてはいけないんだ。


「きょ、今日は大丈夫! ひとりでできるよっ」


 明るく笑って見せる私。

 光雅くんは心配そうな面持ちになった。


「そうか? 最後のプリントだから、いつもより難しんじゃないかと思って」

「難しいかもだけど、自分の力でやってみるよ」


 私が前向きな言葉を言ってみると、光雅くんの表情が緩んだ。

 納得してくれたようだった。