トイレの個室の中で、私は壁に背中をつけて力なくもたれかかる。

 ――私、光雅くんに釣り合わないの?

 一緒に居たら、だめなの?

 彼の迷惑になっているの?

 今までは、頭がよくて努力家で、かっこいい光雅くんのことを、すごいなあ、頑張っているなあと私は尊敬の目で見ていた。

 だけど、自分との能力の差について考えたことなんて無くて、釣り合わないとか、足を引っ張っているとか、思ってもいなかった。

 でも、高崎さんと中村さんの話から察すると、周りからはそう見えるらしい。

 ということは、当の本人である光雅くんだって。

 多少そんな風に思っている可能性だってある。

 いや、光雅くんは優しいからそんなことは考えないかもしれない。

 だからこそ、優しい彼を私が利用しているみたいに思えて、心底自分に嫌悪感を抱いた。

 ――私は、光雅くんと一緒に居ない方がいいのかもしれない。

 薄暗いトイレの個室の中で、私はひとりで密かに涙を堪えるのだった。