ずっとキミしか見えてない

 驚きのあまり全身が硬直してしまって声も出ない。

 光雅くんに顔を見られながら、頭を撫でられているこの状況。

 幸せだけど、心臓が爆発しそうなくらい波打っている。

 下手をすると鼓動の音が彼に聞こえてしまうんじゃないだろうか。


「あ、あ、ありがとう」

「どうしたの? 顔真っ赤だけど」


 首を傾げてさも不思議そうに光雅くんが言った。

 そりゃ、こんなことを好きで好きでたまらない人にされたら、顔も赤くなりますってば。


「え! 気のせいだよっ。あ、さっきちょっと走ったからかな⁉」

「ふーん。そっか」


 不自然な誤魔化しだったけれど、納得してくれたらしく、光雅くんはやっと前を向いて歩きだした。

 彼の接近攻撃からようやく逃れられた私は、残念に思いつつも安堵感でいっぱいになり、こっそり小さくため息をついた。

 ――もう。

 あなたの些細な行動にドキドキしっぱなしだよ。

 こんなんじゃ身が持たない。

 どうしてくれるの、ほんと。

 前を歩く光雅くんの背中を眺めながら、彼のことを一方的に責めていた私だったが。