少し前までは、もう二度と会えないんじゃないかと思っていた彼。

 それでももうすぐ訪れる約束のねこ座流星群の日を、心待ちにしていた。

 やっと彼に会えるかもしれないって。

 もう八年も経っているのだから、可能性が低いことは頭では分かっていた。

 だけど彼に会えるかもしれない、やっと再会できるかもしれないって、希望を抱かずにはいられなかった。

 だけど奇跡が起こって、私は約束の日の前に、「星の王子様」――光雅くんと会うことができたんだ。

 ――でも。

 あなたはあの日のことを、もう覚えていないみたいだね。

 ベッドの中で上半身だけ起こして、私は自嘲気味に微笑む。

 そして気を取り直してベッドから出て、朝の身支度を始めるのだった。