「芽衣、何?」

「新入生代表の挨拶って、入試の成績が一番だった人がやるんだって」

「ええ! そうなの⁉」


 思わず少し大きな声を上げてしまった。

 近くに立っていた先生が睨んできたので、私は小さくなって頭を下げる。

 しかし芽衣は、そんな私に対してこう続けた。


「見た目がかっこいいだけじゃなくて、頭もいいんだねー。こりゃいい高校生活になりそう!」

「芽衣、光雅くんのこと狙うの……?」


 楽しそうに言う芽衣に、不安になった私は尋ねる。

 芽衣は身長が高めでスラリとしていてるし、大人っぽいキリリとした美人で、まるでモデルのような容貌をしている。

 芽衣が光雅くんにアタックをしたら、私に勝ち目はないような気がした。

 すると芽衣は、くすりと笑ってからこう言った。


「いやいや、違うよー。目の保養だってば! 私は五歳くらい年上の人がいいから、同世代はそういう対象に見られないの」

「あ、そっか」


 そう言えばそうだったっけ。

 芽衣の趣味嗜好を思い出し、私は心から安堵した。――しかし。


「あの人かっこよすぎない?」

「やばい、彼女いるのかなあ?」


 女子生徒たちがそわそわしている様子だった。