「あ、ニーナだ」
「おはようございます、ピノくん」
「今朝はカルロスのお手伝いしてるんだ」
「はい!」
朝ごはんの時間になって、調理場で配膳をする私のことをピノくんがしげしげと見つめている。
「ふーん……。ねえ、ニーナ」
「はい、なんでしょう」
「ご飯食べたら、今度はピノのお手伝いしてよ」
「はい! 分かりました」
「ちょ、ちょちょっと!」
ピノくんの言葉に二つ返事で首を縦に振ると、ピノくんの隣にいたルドルフさんが顔色を変えた。
「何言ってんだよお前!」
「え?」
「手伝いの内容も分からずに承諾するな! ピノがこの船の中でどういう立場にいるのか分かってんのか?」
「えっとピノくんは確か戦闘員ですよね」
…………ん?
戦闘員のお手伝い。
「言質、取ったからね。ニーナ」
その瞬間、ゾッと背筋に冷たいものが伝った。
「ピノのお手伝いは――……」
ニッとピノくんが白い歯を見せて笑う。
「それではこれより、ニーナ対ピノの組手を開始する!」
――どうしてこうなった!!
木製の剣を持った私の目の前には素手のピノくんが待ち構えている。
「誰か説明してあげなかったんですか……」
「説明する前にアイツが首縦に振っちゃったんだよ」
ギャラリーの中にいるイリスさんとルドルフくんが溜息をこぼす。
「あ、あ、あの……イリスさんこの状況は……」
「戦闘員のピノくんは新入隊員が入ったら必ず組手を申し込むんです……」
「やっぱりなしってことには……」
「最初の誘いの段階で断れば無理強いはしないんですが、1度了承してしまうと聞かなくて……」
ノー……。
