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「3日間、うちの船で生活をするお前に仕事をやろう。何もしなかったらしなかったで、気ぃ使うだろうし」
「ありがとうございます」

 と、朝ごはんが終わると同時にレオンさんに言われてそのままどこかへ連れていかれた。
 レオンさんの背中に着いていくと、到着したのはランドリールーム。なのだが……。

「う……ッ」

 山積みにされた洗濯物の山からはツンと鼻を刺す嫌な臭いがして、慌てて鼻をつまんだ。

 これは、なかなか……。すごいな……。

「申し訳ないんだが男所帯だと、なかなか洗濯物が片付かなくてな……。週に1回は当番制にして片付けているんだが……」
「週1……?」

 洗濯をするのが……?
 それならこの強烈な臭いが発生するのも納得である。
 乾いた笑みを浮かべるレオンさん。どうやら船長である彼もこの現状には手をこまねいているのだろう。

「悪いけど頼まれてくれるか?」
「3日間、お世話になる分雑用でもなんでもさせていただくと言いましたし」

 シャツの裾をまくり上げて、目の前の洗濯物の山を睨みあげる。これはなかなか手強い相手になりそうだ。でも女たるもの、1度やると言ったことが出来ませんでは女が廃る。

「お任せ下さい!」

 こんなことしか出来ないけれど、せめて。
 こんなことくらいなら私にも出来るから。

 警戒されていても、多少疎まれていても、あの時守ってくれたレオンさんの役に。
 隣のキトリール州まで素性も分からない私を連れていってくれると言ったレオンさんの役に立ちたかった。