ここでの食事は基本的にビュッフェ形式になっているそうで、お皿をもって順番に料理を取り分けていく。ベーコンのような人気があるものは基本的に取れる個数に制限がかかっており、それを破るとカルロスさんよりキツいペナルティが与えられるんだとか。

「おはようございます、カルロスさん」
「君か。おはよう」
「すごいですね、どれもとても美味しそうです」
「ああ、口に合うと嬉しいな」

 ベーコン、ピラフ。スクランブルエッグにサラダを取り分けて、私はイリスさんの後ろについて歩いていった。

「ちょっと、なんでソイツがここにいるのさ」

 そう言って口を尖らせたのはこの船の整備士、ルドルフさん。

「おはようニーナちゃん。ゆっくり眠れたかしら」

 ルドルフさんの隣にはサミュエルさんが。
 ピノくんもイリスさんも、空いている席に腰を下ろした。

 残席の数からして、このテーブルは幹部の方たちがまとまって座ってるところなんじゃないのかな?
 そんなところに私が座ってしまってて良いんだろうかと思ったが、すぐに答えにたどり着いた。


 そっか。多分、これは見張りだ。

 ジャバウォックの方からしてみれば、私は正体不明の不審人物でしかない。正規の船には乗れずに空賊を使って王都を目指そうとしてる女なんて怪しいことこの上ないだろう。だから幹部の方たちが周りを固めて見張っているんだ。


 彼らに促され、サミュエルさんの隣に着く。
 それにしてもすごい人だな。見張りと、最低限船を飛ばすのに必要な人員を除いたジャバウォックのほぼ全員がここに集まっているそうだ。

「それでもうちは、空賊の中では少数精鋭なのよ」
「そうなんですか?」
「普通は100人とか200人とか船に乗っているものだから。もっとも、このホワイト・アリス号にはそこまでの人は乗せられないけど」
「当たり前だ。僕のアリスは繊細なんだ」

 サミュエルさんの言葉に、ルドルフさんはうんうんと頷いていた。