それからしばらくして、私は会社である噂を耳にする。

それは裕香と自販機でミルクティーを買って、自販機前にある休憩スペースで休憩をしている時の事だった。

「あれ?赤崎さんに清水さんだ。休憩中?」

休憩中の私達に声をかけてきたのは高成さんだ。告白を断った後も高成さんは普通に声をかけてくれる。

「はい。高成さんは外回りから帰ってきたところですか?」

「うん。それよりビッグニュースがあるんだけど…聞きたい?」

高成さんは喋りたそうに私達に聞いてくる。一体何だろう。

「へぇ、ビッグニュースって何ですか?」

私はミルクティーを飲みながら高成さんに聞いた。

「実はここだけの話なんだけど、平国主任お見合いするんだってさ。」

「お見合い!?」

蓮さんがお見合いって、いつもの噂かな?私何も聞いてないし。

「そう。しかも相手はあの大企業の下沢財閥の社長令嬢らしいよ。」

社長令嬢!?…でも前からそんな噂はあったし、今回も嘘…だよね。

「でも、社長令嬢との噂は嘘だって平国主任前に言ってましたよ?」

一緒に話を聞いていた裕香が話を否定する。

「それが今回はマジらしいよ。だって俺、うちの課長から直接聞いたんだ。今日社長に呼び出されて一緒にお見合いの話を聞いたんだって。」

「じゃあ噂が本当になるんだ。平国主任にはやっぱり社長令嬢くらいの女性がお似合いよね。ビッグニュースだわ。」

「だろ?やっぱり平国主任はスゲェわ。」

高成さんと裕香が話に盛り上がっている中、私は頭の中がぐるぐる回っていた。

蓮さん、お見合いするのかな。そして話が進んじゃったら私は完全に邪魔だよね。