「ふ、触れるって何処をですか?」

「色々。」

主任は語尾に音符マークがつくような言い方をして笑顔を見せる。

「無理です。せめて主任に対する耐性が出来るまで待って下さい。」

私は顔を赤くさせながら主任にお願いをした。

「…じゃあどこまでなら触れていいのかな?抱きしめるのは?」

「大丈夫です…(多分)」

「キスは?」

「大丈夫…だと思います(多分)」

「キス以上は?」

「…無理…です。」

私は視線を逸らし気味に言う。それを聞いた主任は考え込むような仕草をして、少し話を中断する。

「…美織が俺のお願いを二つ聞いてくれたら、我慢する努力をしようかな。」

「お願いって?」

なんだか聞くのも怖いけど、私に出来る事なら願いを聞かなきゃな。

「取り敢えず、敬語はやめようか。」

「えっ…了解。もう一つは?」

「主任って呼び方を変えて欲しいかな。そもそも俺、美織の上司じゃないし。」

「じゃあ…平国さん?」

「どうせなら下の名前の方がいい。」

「蓮様?」

「お前、わざと言っているだろ。」

主任は笑顔を見せるが、顔に怒りマークが現れ、私の頭をガシッと掴み髪をクシャクシャにされた。

「えへへ、ごめんなさい…蓮さん。」

私が謝ると主任…蓮さんは私から手を離し、今度は私の肩を優しく抱き寄せる。

「その耐性ってヤツが出来るまで我慢はするけど、やっぱり美織にも努力してもらわないとな。」

そう言って、蓮さんは笑顔で私にキスをしてきた。

「早く耐性が出来るように出来るだけ近くにいるから…さっさと慣れろよ?」

えっと…蓮さんの色香に耐性がつくまで、毎日こんなに甘々溺愛みたいなことされちゃうの!?それはちょっと困るかな。だってドキドキし過ぎて辛いし。