『色覚異常、ですか?』

『そうです。お子さんは色が分からない障害なんです。見えている景色が白黒で、僕たちが見ているような色鮮やかさが無い状態です。』

『そんな…』

『色によっては黒みが濃かったり、薄かったりする程度で、色を認識する事が難しいです。治療する方法が無いので十分にお子さんをサポートしてあげてください。これからは視力や色覚を検査したいので定期的に受診しに来てください。次回の受診日はこちらから連絡しますね。』


あの時の、母の悲しそうな顔は今でも忘れられない。遣る瀬無いような虚しい表情(かお)が頭にこびり付いて離れない。

幻滅しただろうか。
自分の娘が色が分からない障害だなんて。