『いちごー?早く起きないと学校遅刻しちゃうよー?』



(あー!もう分かってるって!)
『はーい』



朝から私のお母さんは親切なことにわざわざ部屋まで起こしにやってくる。学校に遅刻するから?
でもここは超がつくほどの田舎!学校は1番近くて自転車で1時間以上かかるオンボロ学校!
行ったってどうせ意味ないのに…はぁ…。

私?私の名前は霧崎 維智檎(きりさき いちご)
そして私を起こしに来たのは母の一果(いちか)
父は私が3歳の時に交通事故で亡くなった…
でも3歳の記憶なんてあてにならない。
今は全然覚えてない。

家はお化け屋敷⁉️って思うぐらいボロいけど、ご近所さんと比べるとちょっと大きくて広い。
だから父型の祖父母と同居してる。




私は眠い目をこすりながら下に降りる。

『おはよう、いちごちゃん。学校頑張ってね。』

『ありがとう、お婆ちゃん!お婆ちゃん大好き』


お婆ちゃんだけが唯一私を応援してくれる!
小さい頃からずっと仲良し!



『早くご飯食べて学校行きなね!じゃあもう私出るから。』


『はーい。行ってらっしゃーい。』



母はいつも朝早くからお弁当を持って少し歩いた所の畑に行く。
お爺ちゃんの所有物?みたいでお爺ちゃんは誰よりも早く起きて畑仕事をしてるみたい。
何時ぐらいなんだろう?よく早く起きれるよね。


私は急いでご飯を食べて家を出た。
家に1人になっちゃうお婆ちゃんが心配だけど、野良猫と遊んだり編み物をしたりして充実してるみたい!それでも心配だな…。


そしていつもの長い道のり。少し左右に行こうものならすぐに畑に落ちちゃうぐらいの狭い道。



《1時間》
『おーい、早く席に付けー!
お、また維智檎遅刻かー!?まったく…』

『だって家から遠いんだもん!』

『それはお前だけじゃないんだから、もっと早く家を出なさい。』

『はーい』

(クスクス、またいちごのやつ怒られてやんのw)
(自業自得だよねーww)


『おい、静かにしろー。ホームルーム始めるぞー!』




はぁ…ホームルームなんて必要なくない?
学校教諭は校長も合わせて5人。
生徒は各クラス7人ぐらいで全校生徒20人。
3クラスしかなくて、私のクラスは6人。
生徒は遠いところから来てる人が大勢。
まぁこんな田舎なんだから当たり前か…




『はーい、じゃあ授業の準備しとけよー』



小中高一貫の学校だから、みんな顔なじみ。
高校生7人、中学生6人、小学生7人で授業はグループ授業を行なっている。

ざっくり説明すると…
それぞれ同い年の人と一緒に自習。同い年がいない人は1人自習。教室は高校クラス、中学クラス、小学クラスに分けられててその中で自習。
60分授業で10分ごとに先生が回る感じ…
1日5時間授業で休み時間や掃除の時間もある。
こんな感じかな?




『なー、維智檎また寝坊?ドンマーイ!』




この話しかけてきたのは中2の奏太(そうた)。
いっつも私を馬鹿にしてくる。





『もう、維智檎ちゃんだって大変なんだよ!からかうのはやめてあげて!』



(あぁ、女神様だ〜)


私を庇ってくれたのは私と同級生で中3の桜(さくら)ちゃん!いつも優しくて女神!いや天使!



『さくらちゃ〜ん。(泣) ありがとう〜!』



『もう、いちごちゃんも悪いんだよ!遅刻はもうダメだからね!』



『は〜い。(しゅん)』



いつもこんな感じ…
でももう来年からは高校クラス!


『早く来年にならないかなぁ〜』


『もう、またいちごちゃんてば…』





そう!これはさくらちゃんにしか言ってない私の秘密!1つ上の志津(しず)先輩のことが好きなんだ〜!



あれは小学生の頃…