ちょうどお昼時、作陽中1年生の遠足・・・・・・
「なぁなぁ、俺にもくれよ〜」
「あの美人さんが作ったんだろ??美味そーだなぁ」
「そんな食えねーだろ!?無理すんなって〜」
鈴の周りには人集りができていた。
そう、ゆずから貰ったお弁当にみんな興味津々なのだ・・・。
みんなと食べてって言ってたけど、
「お前らなんかにやるかよ。これは俺だけで食う。誰にもやらねぇーよ」
それを聞いた女子たちが、
「きゃーっ!!!聞いた!?」
「私も言われたいぃ」
「やっぱり彼女!?年上彼女!?」
鈴の喋る一言一言が、女子たちの格好の餌食なのである。
鈴の隣にいた正作が、はぁ、とため息をつき、呆れた顔をする。
「ほら、みんなお弁当食べる時間なくなるよ」
みんなその言葉を聞くと、「あ、そうか」と自分のリュックが置いてある場所へと戻る。
「・・・で、ホントにそれ全部食う気??後で吐くなよ」
鈴はもう既に弁当に手をつけていて、両手におにぎりを持って、片方ずつ食べていく。
言葉にはしないが、目でわかる。「当たり前だろ」って言っている。
「誰も取らねーからゆっくり食えよ」
そしてもう既に食べ終わった弁当箱を片付ける。
これは俺が食べるのが早いんじゃない。
周りが遅いのだ。鈴のことを喋っていて、箸が進んでいない。
まだまだ小学生だなぁ。と、心の中で思うと、目の前に誰かが立っていた。
「ん、なに?」
「ちょっと、話したいことがあるの」
それは、愛咲響だった。
立ち上がり、鈴を見るが、お弁当に集中していてこっちを見る気もない。
心の中で「ちょっと行ってくる」といい、
愛咲の後に続いて歩く。


