お母さんのために笑顔を作って、それをキープしたままわたしも家を出た。

せめてわたしだけは、お母さんの負担にならないようにしたい。


でも、びゅうと強く吹いた冷たい風に、せっかく作った笑顔もあっさりはぎとられる。



「はあ……さむっ」



12月。師走。


1年の最後、いちばん忙しい時期。

でもわたしにとっては、死ぬほど退屈な時期。



今日で高校の定期テストも最後だ。

あとは冬休みまで必要のない勉強をして、クリスマス、大晦日、お正月――。


ああ、退屈。


冬休みが終わっても、自由登校だからわたしには何もすることがない。


なんて、退屈。



「はやく卒業したいなあ……」



わたしの呟きは、白い息とともに朝の空気に溶けて消えた。