窓際の列、後ろから3番目の席を素早くチェック。
そこはもうひとりの平くんの席。
うちのクラスの平くんの、双子の弟。
平聡くんがいた。
平兄弟は同じ黒髪でシャープな顔立ちだけど、ふたりの雰囲気はまるで違う。
兄の平くんは制服を着崩しているけど、弟の平くんは制服をきっちり着こんだ真面目な優等生タイプ。
兄の平くんは表情の変化に乏しくて近寄りがたい感じがするけど、弟の平くんはいつもにこにこしていて柔らかい雰囲気だ。
顔はそっくりだけど、全然ちがうふたり。
わたしは弟の平くんと、1年の時同じクラスだった。
そして
わたしは彼に、恋をしていた。


