証書を持っていない右手を、そっと制服のポケットに伸ばした。
カサリと、小さなビニールの包みを出す。
それをおそるおそる、平くんへと差し出した。
「なに?」
「昨日ね、作ったの。チョコマカロン」
「チョコマカロン……?」
「バレンタインに、渡せなかったから」
平くんの切れ長の瞳が見開かれる。
そりゃあ今更?って驚くのもムリない。
わたしだって今更だよなあと思ってるんだから。
緊張で手がふるえながら続けた。
「渡す勇気がなくて、遅くなっちゃってごめんね」
「どうしていま……?」
「このまま卒業していいのかって思って。平くんは木内さんと付き合うって聞いてたから、バレンタインには渡せなかったの」
「はっ!?」


