それよりもどんどん優しくなっていく彼に、わたしは惹かれていったのだ。
もう1歩、また1歩と彼に近づく。
「ごめんね平くん。弟さんと間違えて。わたしすっかり同じクラスの平くんだと思いこんでた」
あの時の平くんは、いまと違って制服をきっちり着て、髪も聡くんと同じように優等生っぽく整えられていたから。
それに平くんは図書館でメガネをかけていて、弟の聡くんも授業中だけメガネをかけていたから違和感もなくて。
聡くんなんだと微塵も疑っていなかった。
「あの時の俺を春川さんが聡だと思い込んでたってことに、テスト後になって気付いてショックだった」
「う……。本当にごめんなさい」
平くんはそれから、ひとめで弟と見分けをつけてもらえるように、服装や髪形をガラリと変えたんだと言った。


