「あの時の平が俺だって、春川さんに知られたくなかったんだ」
「だから、それはどうして?」
「あの時の俺、態度悪かっただろ」
態度?
予想しない答えに、わたしは思いきり首を傾げてしまった。
すでにフィルターがかかったようになっている過去の記憶を引っぱりだして、あの時の彼の言葉や仕草や表情を、必死に思い出そうとした。
「あの……ごめんね。態度が悪かったなんてこと、なかったと思うんだけど」
「春川さんが忘れてるなら、いいんだ。でも俺はじめ、なんでこんな基礎中の基礎ができないんだろうとか、思っちゃってたから」
「あー……」
確かに最初、あまりにも出来の悪いわたしに、呆れている風ではあったけど。
態度が悪いなんて感じたことは1度もなかった。


