「どうして……」
一歩、彼との距離を縮める。
「どうして、言ってくれなかったの? 1年の時、図書館で勉強を教えてくれたのは、平くんだったんでしょう?」
わたしの問いに、平くんは微笑んだまま恥ずかしそうにうつむいた。
でも、いつものようにフードはかぶらない。
「聡から、何か聞いた?」
「うん。さっき……。聡くんは、図書館でわたしに勉強を教えたことはないって」
「……はあ。アイツはなんで余計なことを。知られたくなかったのに」
どうして、知られたくなかったの?
わたしがその時恋をしたんだと言ったから?
わたしに気をつかってくれた?
平くんはガリガリと頭をかいたあと、なぜか「ごめん」と力なく呟いた。


