卒業まで100日、…君を好きになった。


デジャヴ……いや。

これはあの日の再現だ。


わたしと君のはじまりは、たしかこんな風だった。


ちがうのは、教室の窓から見える桜と、わたしたちの手にある卒業証書。



「もう、つまんないって言わないの?」



平くんの小さな声が、静かな教室には大きく響いた。



「あの時、君は言ってたよね。つまんないって」



あの時のように、なんだか現実感が薄い。

小首を傾げる平くんに、わたしは少しぼんやりしたまま頷いた。



「もう、つまらなくないよ」

「……そう」



表情の変化にとぼしい彼の顔に、優しい笑みが乗った。


その微笑みは、かつて図書館で見た、わたしが片想いしていた彼の微笑みそのままだった。