「だから少し、アイツに意地悪したくなったのもあるんだ。ごめんね?」
ごめんね?
と首を傾げて可愛らしく言われても。
なんだかさっきとんでもないことを言われた気がして、頭が真っ白になっていた。
「木内が何か言ったみたいだけど」
「へ? き、木内さん?」
「篤のこと。嘘だから、安心していいよ。篤は木内と付き合う気なんて一切ない」
「え……え?」
木内さんが嘘を?
彼女の言った、何がどこまで嘘?
一気に色々情報を与えられて、脳が処理しきれない。
「それから、俺は図書館で君に勉強を教えたことはないよ」
今度こそ声も出ず固まるわたしに、聡くんはおかしそうに笑って手を振った。


