「……そうか。うん。しょうがないね」
数秒後にはいつもの笑顔が戻っていて。平くんとは反対側に小首を傾げながら、わたしを優しく見下ろしていた。
「俺ね、いつも俺より何でもちょっとだけ良く出来る篤が、妬ましかったんだ」
「え……」
「そのくせ本気出さないで、糸の切れた風船みたいにフラフラしてる。双子なのに何考えてるのかわかんなくて、余計イライラしてた」
前置きも何もない、聡くんの告白に戸惑う。
これはもしかして、前に平くんが悩んでいた兄弟の不仲の理由なんだろうか。
「でも、最近の君に夢中な篤は、余裕がなくて見ていてちょっと好ましかったよ」
「そうなん……はっ!?」


