「聡くん。わたしは――」
「木内に聞いたよ。春川さん、1年の時、俺のこと好きだったって」
木内さん、なんで本人にそんなことを……!
カッと頬が熱くなる。
まさか過去の片想いを、想っていた相手に知られることになるなんて。
「よく目が合うなと思って、俺も気になってたけど。本当に俺のことを?」
「それは1年の、冬頃の話しで」
「じゃあ、俺のことは嫌いじゃないんだね。それなら――」
「でも! でも……いまわたしが好きなのは、平篤くんなんです」
同じ顔だから?
この顔ならどっちでもいいの?
そう思われても仕方ないのかもしれない。
でもわたしが好きになったのは、あの時も今回も、
彼らの内側にある優しさだった。


