卒業まで100日、…君を好きになった。


秘密の空間に別れを告げて階段をおりると、下に平くんがいた。


ドキッとして足が止まったけれど、すぐに彼がわたしの探していた平くんではないと気付く。



「聡くん……」

「探したよ」

「え?」

「忘れちゃった? 卒業式で、もう1度告白するって言ったよね?」



わずかに首を傾げて、困ったように微笑む聡くん。


う、わ、忘れてた……!

と、正直に言うのはためらわれて、「ごめんなさい」とだけ謝った。



「その様子だと、もう返事は聞かなくてもわかるけど。一応言わせてもらうね」

「は、はい」

「春川さん。俺と付き合わない?」



ためらいも意気込みも感じない、さらりとした告白だった。