スカート越しに伝わってくる、ひんやりとした固さがなんだか懐かしい。
「……楽しかったなぁ」
ここで、平くんと一緒にお弁当を食べた。
冬休み以降の計画を立てて、
お互いの家族の話しもして、
悩みを打ち明け合い、励まし合った。
ここで過ごした平くんとの密やかな時間は、優しくて、穏やかで、宝物みたいなひとときだった。
温かいカフェオレのように、ほのかな苦みの底に、ほっとする甘さを残る。
そんな夢のような一瞬だった。
「ありがとう……」
いつも平くんが座っていた隣りのスペースを、そっとなでる。
彼がそこでふわりと、微笑んだ気がした。


