木内さんのきれいな顔も、わたしたちみたいに目が腫れて、赤くなった頬は涙で濡れていた。
木内さんはしばらくわたしを睨んでいたけれど、不意に疲れたように肩を落として、笑った。
なんだか諦めに似た、寂しそうな微笑みだった。
どうして、木内さんがそんな顔を……?
「きゃー! 奈々行った!」
「がんばれ~っ」
木内さんはきびすを返し、長い髪をひるがえして生徒の波の中に消えていった。
自信に充ちあふれて、幸せももぎとっていくようなパワフルな彼女が。
平くんとの幸せな未来が待ってるはずの彼女が、なぜあんな顔をしていたのか。
わたしは立ち尽くしていたけれど、しばらくして、はしゃぐ仲間たちの輪をそっと抜け出した。


