「卒業だけどさ、大学始まるまで遊ぶでしょ?」
「卒業旅行いこ!」
「えー! いまから計画すんの?」
「あんた大学遠いし、一人暮らしになるもんねぇ」
「いまのうち遊んどこーよ!」
「唯、どこ行こっか~?」
「えー? ふふ。そうだなぁ……」
みんなは受験生で、わたしはひとりだけ卒業生で。
ずっと高い壁のような、深い溝のようなものを感じてた。
みんなの輪に入れないことが、すごくすごく、寂しかった。
でもいまはみんな同じ卒業生だ。
わたしはもう、寂しくない。
「明日謝恩会で親いないじゃん?」
「クラスで集まりたいよね~」
「瀬戸くんに声かけてみよっか!」
「奈々、言ってきてよー」
「え~っ!? わたしが!?」


