「春川さんがイヤなら、もう、会わなくてもいいから」



平くんが、苦しそうにしぼりだすような声で語りかけてくる。


イヤじゃない。

イヤなんかじゃないんだよ。


ただ平くんが好きで、好きすぎて苦しいの。



「だから、卒業までは……俺の仲間でいて」



それはつまり、名前だけの、名ばかりの同盟。

それでもまだわたしと繋がっていたいと、そう言ってくれる君が、本当に大好きです。



「早く、良くなって。……卒業式で会おう」



力なく呟いて、平くんが動く。


ポンと軽く、布団の上から叩かれた。

彼の手を布団越しに、確かに感じた。



「お邪魔しました」



その言葉を置いて、平くんは部屋を出ていった。