そっと、そこにいるだろう人を刺激しないように近づくと、園芸道具を積んだ棚の横に、うずくまる小さな影があった。
「拓……」
いた。無事だった。
ゆっくりとこっちを見上げた拓の顔は、血の気がなくて目の下はくぼんで、泣きはらしたあとがあったりでひどかったけど。
わたしは心底ほっとして、拓の前に膝をついた。
「拓、ごめんね」
「……なんで、姉ちゃんが謝るんだよ」
かすれた声で拓が答える。
拓の唇は震え、歯がカチカチ鳴っていた。
「逃げてたから。もっと早く、ちゃんと拓と向き合えばよかった」
コートを脱いで、拓の背中にそっとかけた。
外側は濡れちゃってるけど、中まではしみてないからまだ大丈夫。


