『もしもし? 春川さん?』
「平くん……!」
『どうしたの。なんか息切れしてない?』
無意識で電話をかけたはいいけど、どこからどう説明したらいいのか。
全然整理がついていなかった。
「あの、えっと……」
『……春川さん? 本当になんかあった?』
「う、うん。今日ね、免許証もらって帰ってきたらね」
『そうだ。学科大丈夫だったんだね。免許取得おめでとう』
「あ、ありがとう。あの、それでね。家に帰ったらお母さんが……」
上手く話せなくて、とにかく順を追って説明しようと思った時、電話の向こう、平くんのうしろの方から声がした。
『アツシー。何やってんの?』
それは多分、おそらく、木内さんの声だった。


