可愛いリボンをわざわざ買って。

心をこめたチョコレートに精一杯のおしゃれをさせた。


でもそれも、渡さなくっちゃ意味がない。

ひとっつも私の気持ちは伝わらない。



「ほんと、バカみたい……」



一時でもすべて忘れてただ、自分の気持ちだけを胸に渡せたらよかったのに。


余計なことをごちゃごちゃ考えて、せっかくのチャンスも棒にふる、臆病で意気地のない自分が情けない。


だめだめだ。

だめだめのまま、わたしは卒業するのかもしれない。


拓に嫌われたまま。

葉子ちゃんにも嫌われたまま。

平くんに想いも告げられないまま。



「心残りありまくりじゃん……」



ホームに電車が到着する。

わたしは箱を押し潰すようにして、バッグにしまいこんだ。