「平くん配置別なのに、手伝ってもらうとか図々しくない?」
私を取り囲むように並んだ女の子の中のひとりに言われ、反射的に頭を下げる。
「ご、ごめんね。たまたまはち合わせて、手伝ってもらうことに……」
「あ! ってゆーか春川さん! これ違うサイズだし!」
「えっ!?」
「わたしMって言ったよね!? これ全部Sじゃん!」
「はあ? 間違ったものを平くんに運ばせたの?」
「ありえなーい!」
うそ、さっきSって言ったよね!?
という言葉を飲み込む。
もしかしてわざとだろうか。
この忙しい時に? わざわざ嫌がらせ?
……ううん、やめよう。
きっと彼女が言いまちがえたか、わたしが聞きまちがえたんだ。
「すぐこれ戻して、M持ってきて!」
でも、同じバイトなのに命令されるのってどうなんだろう……。
人と仲良くなるのが上手い方だと思ってたけど、もう自信がなくなっていた。


