平くんは善意で言ってくれてるんだけど、困ったな……。


断り方がわからないまま、結局平くんに運ぶのを手伝ってもらってしまった。


ひとりちがう制服の平くんがチョコ売り場の戦場に現れた途端、他のバイトの女のコたちが目ざとく見つけて近寄ってくる。



「平くん、わざわざ運んでくれたの?」

「ありがとう! 助かる~」

「いや。じゃあ春川さん、あとで」



群がってきた女のコたちに平くんは後ずさりながらわたしにそう告げると、自分の定位置に戻っていった。

まるで逃げていくみたいな後ろ姿に苦笑する。


平くんがいなくなるとびっくりするくらい女のコたちの表情が変わった。

わたしを見る彼女たちは、まるで虫けらを見るような目をしていた。


なんだかわたし、最近嫌われてばかりな気がする。